トヨタ期間従業員に行こう

トヨタ自動車期間従業員であった筆者が期間工、派遣社員、非正規社員についてや雇用の問題そして1年間にわたる失業生活、その後のタクシー運転手としての日々なんかをぬるめに書いています。

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タクシー減車法案で考えたこと
改正タクシー事業適正化・活性化特別処置法が成立した。来年4月から施行されるそうだ。新聞やネットでの声は消費者(利用者)と事業者ばかりで、運転手の声は聞こえてこない。なので生の声を書く。

「ハッキリ言って、ありがたい。規制万歳。自民党バンザーイ。アベノミクスキタ━(゚∀゚)━!、ついでに料金も上げてくれ!」
というのが生の現役ドライバーの大多数の声だ。なんせ法律の目的が
1、運転手の労働環境改善
2、安全性向上
なのだから、ドライバーが反対する理由が見つからない。反対している一部経済学者やマスコミ、論客なんてのはオレたちの敵だ。今後そういう輩が手を上げたとしてもドライバー諸君はハッキリ「乗車拒否」をしてもらいたいと思う。

タクシー減車法案 アンケート
タクシー運転手10人に聞いた「減車法案どう思いますか」

12人の客を6台で分け合うか、4台で分け合うか、どちらが1台に得か?なんて算数は1年生でも分かる。それが減車政策だ。「どうせならもっと厳しく減車して、できるなら今の半分ぐらいにしてくれ」というのも生の現役ドライバーの声だ。

さて、ほんとうに減車によって我々の労働環境が改善されるのだろうか?
12人の客を6台で分け合っていたのが、4台になるので、1台あたり2人から3人にドライバーの売上は1.5倍増える。しかし、事業者の売上は12人のままだ。これも1年生でも分かる算数だ。

では、減車が厳しくなって3台になったとしよう。となると4人/台、2倍の売上になる。この場合も事業者の売上は12人のままだ。ままなのだけれど、1台当たりの営収というのは限界があるので、単純に2倍にはできない。となると事業所の営収は減少する。タクシー会社の利益が少なくなるということは労働者の環境に悪影響を与える。ん?それで本当に良いのか?

運転手は機械ではない。例えばこれまで1台3万円の営収があったとする。この場合「もう少し稼ごう」という心理が働く。しかしそれが2倍になったとして6万円になるとする。この場合「もう十分」(ジャルゴンで「腹いっぱい」)と普通は思うし、その手前5万円でも腹いっぱい状態になる。3万円の営収が5万円になったのだから満足なのだ。単純に300万円の年収が500万円になるということだ。

5万円でも十分に「運転手の労働環境改善」は果たされるし、4万円でも改善されたと思う運転手も多くなる。腹いっぱい状態が続くと運転手が営業努力をしなくなる。となるとまたまた会社の利益は減少する。一企業の問題だけではなくて業界規模が縮小してゆく。そして緩和という悪循環に入ってゆく。また苦難の時代に逆戻り?

運転手各自のサービスの低下とともに、「各社の創意工夫を妨げ、競争を否定する」ということによるサービスの劣化による客離れが起きる。これまでタクシーを利用していた人がバスや電車に移行する。オンデマンドタクシーなどの新規サービスにおいてもタクシーではなく、バス業者や他業種の介入することも予想される。そうなると、さらにさらに業界規模は縮小に向かう。タクシーは他のサービスをする余裕がなくなる。業界再編合併、リストラ…運転手の苦行の時代だ。

減反政策、じゃなくて、減車政策は業界とそれに関わる労働者を荒廃させる要因をたっぷりと含んでいる。それはもう「減反政策」で学んでいるはずである。(減反と同じで、減車するなら補助金を出せ、じゃないと職業差別だぞ、なんて声もある)減車によって業界自体の規模が縮小するようでは改悪だ。

市場経済とは規制をなくし「見えざる手」によって価格や価値を決めるということなのだ。それに逆行してまでも改悪の危険性を含んでいても、そして減車だけでは根本的な解決になっていないにしても、ドライバーの利益を守らなければならないほど我々は困窮している。とりあえず実行できるのが「減車」なのだろう。もうなにがなんでもこれ以下の生活は憲法違反なのだ。
#それにけっこう票もあるし。

次に、減車によって本当に安全性が向上するのだろうか?

事故の要因というのが労働環境、特に収入に影響するのならばそれも可能だろうけれど、上記のように1台あたりの実車ハンドリング時間は長くなる。だって3万円分しか走っていないのに5万円分、6万円分の走行距離になるんだから。

労働時間や休息時間が厳しく法律で管理されているタクシー業界なので、労働時間の減少はあまり期待できない。それに「腹いっぱい」までやるのがドライバーだけではなくて人間の心理だ。なので反対に実車ハンドリング時間が長くなる。そうすると連続緊張時間の増加による疲労が増加し、事故が増える。

これまで、例えば2002年の規制緩和から事故が増えたのかというと、急増したなんてことはない。徐々に増えているとしても、それが即収入や労働時間に直結するかというのも疑問だ。問題は他のところにあって、例えば安全性向上のための労働時間を厳格化したことが、運転手の焦りになって事故に繋がるケースもある。

眠りたいと思ってもそのまま無理をして運転して事故を起こすということだ。

ドライバー営収=顧客数×距離/時間

時間の短縮がそのまま収入増になるので、スピード超過をしがちになる。それが事故の原因になる。

要するに規制緩和(増車)と規制強化(労働時間短縮)が同時に行われた結果が安全性低下になったのだ。減車したからと言って、そう簡単に政府の思惑通りに「安全性向上」なんてなるわけがない。常に「腹いっぱい」という心理が人間には働くのだから長時間労働にはかわりない。目の前にお金(手を上げている人)があるのに、拾わない人はいない。

ということで結論、規制緩和で我々の労働環境は一時的に改善する。そして徐々に業界は縮小する。それでも我々ドライバーはかまわない。将来のことなど考えられないほど、我々は高齢化していて疲弊していて荒廃している。実はそのことが業界の根本的な問題なのだ。

そして安全性が向上するかと言うと、しない。事故の原因は労働条件・収入とは比例しない。それを図式したのが下のグラフだ。市場でのタクシー数が増えれば売上は減少するが労働時間、事故数はほぼ横ばいになる。減車に対しても同じことなのだ。

タクシー増減車と労働条件、交通事故グラフ
市場でのタクシー車輌数と労働条件、交通事故相関グラフ

将来的に顧客数は人口減による自然減と、違う形態の旅客サービスの展開による減少、サービス低下による減少などにより減る一方である。安全性向上はタクシー数の減少により向上するしアクティブセーフティでの技術開発によりさらに向上する傾向にある。

じゃあ、減車する必要がないのではないかと思うのだけれど、生活保護費以下の賃金、平均年収200万円台なんて現状をどうにかしてくれ、というのが我々の本音なのだ。これまでは車輌数だけ規制しないで、運賃や労働条件なんてのもだけを規制していたからおかしな状態になっていたんだろうと思う。。

根本的な解決策になっていないと思うのだけれど、とりあえずボクも減車は大いに賛成なのだ。
#というか、ここ豊橋は減車対象地域ではないのだけれどね。週末はタクシーが足らなくなってご迷惑をおかけしていてすみません。

だが、10月22日に開かれた自民党の国土交通部会では、飲食店チェーン「ワタミ」創業者の渡辺美樹参院議員が、法案をめぐり「居酒屋業界が苦しくなるから居酒屋の新規出店をしてはいけないとなれば競争はなくなってしまう」と主張した。ただ、法案に反対姿勢だったのは渡辺氏だけだった。

 小泉政権で閣僚を務め規制緩和を進めてきた竹中平蔵慶応大教授は「運転手の年収減少が起きれば、最低賃金制度をタクシー会社に守らせればよい。法案は供給制限を正当化し、規制緩和に明らかに逆行している」と批判する。

 事業者の新規参入が禁止され競争が制限されればサービス向上などの企業努力は失われ、消費者の利益が損なわれる懸念もある。それでも、タクシー減車派は「米国は運転手に最下層の人が就く。日本は違う。所得アップが必要だ」(自民党中堅)と息巻く。規制緩和の推進を掲げるアベノミクスだが、タクシー業界に限っては規制緩和より賃上げを優先する構えのようだ。

#てか、ワタミ、ぜんぜん分かってないね。
【自民党は変わったか】タクシー減車法案 アベノミクス規制緩和に逆行+(2/2ページ) - MSN産経ニュース

問題が多すぎるタクシーの規制強化 :日本経済新聞

緊急調整地域、特別監視地域及び特定特別監視地域について
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