トヨタ期間従業員に行こう

トヨタ自動車期間従業員であった筆者が期間工、派遣社員、非正規社員についてや雇用の問題そして1年間にわたる失業生活、その後のタクシー運転手としての日々なんかをぬるめに書いています。

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「万引き家族」のとうもろこしについての一考察
AmazonのPrime Videoに「万引き家族」が追加されていたので見た。

この国の抱えている、例えば貧困、いじめ、不登校、核家族化、年金、食料自給率、DVなどの社会的問題を直接的間接的に表現し問題提起している。とは言ってもその表現や問題はあくまでも観る側、といっても物語論の作者の死なんてことを言っているのではなくて、観る側によって随分とその解釈は変化する。それは「行間を読む」ということだけではなくて、物語そのものだったりする。

「万引き」という犯罪が主題になっているということも物議を醸した映画だったようだが、その主題さえも実は変化する解釈のひとつであり、敢えて「万引き」という犯罪を主題にしたことこそ、是枝監督のこの国の抱える社会問題を多角的に表現する手法なのではないかと推測している。

例えば、万引きではなくて稲作を家業としている「稲作家族」や、漁師を生業としている「一本釣り家族」を描いたとしたらどうだろうか。

家族制度というものは、実は「万引き家族」そのものであったり、農村や漁村では互助共助の習慣が存在し家族とムラ社会を構築していることを考えれば、万引き家族の家族構成はそれほど特殊なものではないはずだと気づくはずだ。

その象徴的な出来事が樹木希林さん演ずる初枝が亡くなり床下に死体を埋めるシーンである。それは土葬の習慣と、ムラ社会での葬儀の意味を具体化している。ただ単に貧困問題で葬儀を出せない、という単純なことではなくて、高度文明化した時代に家族という最古の集団単位とその喪失を表現しているようでもある。

さて、問題の「とうもろこし」だが、花火の日と海に行った日にとうもろこしが出てくる。

あのとうもろこしこそ、「中南米の古代文明において神と崇められ、現代の巨大アグリビジネスの勃興を促した」(*1)のであり、今のような家族や社会に変えてしまった象徴的なものなのだ。とうもろこし、産業の発展と文明は、神の不在とムラ社会の崩壊、家族の喪失をもたらした。聖書のリンゴ、文明のとうもろこし、なのではないのだろうか。

黄色い湯がいただけのとうもろこし、海では醤油をつけて焼いたとうもろこし、この変化もボクたちの生活の変化を表現している。それは良いことなのか悪いことなのかは別として、生きることを複雑にして超個人主義の社会構造を構築した禁断の果実ということなのだ。

その禁断の食物を手に入れたボクたちは、全ての所有権(それは土地というものに象徴されるのだけれど)を手放し、さらにグローバリゼーションなんて大規模な制度の中でしか生きる術をなくしてしまった。もう戻れない。ボクたちは幸か不幸かその大規模な制度(正体は国家だったりするのだけれど)で定義され存在する。家族を国家に万引きされてしまったのだ。それこそが国枝監督の表現したとうもろこしなのだ。

なんて酔った勢いで書いてみたのだけれど、まるっきり間違ってもいないと思うし、実はまじめに時間をかけて「とうもろこし論」を考えてみたいと思ったりしている。たぶん、是枝監督のとうもろこしの演出はボクの考え方に間違いないと思っている。だってあのとうもろこしってのはとても印象的だったんだし・・・。そして黄色の服も・・・。

さてともう一回見るか。

(*1)トウモロコシの世界史 - 【悠書館】人文書、自然科学書、レファレンスなどを出版しております

万引き家族 Amazon Prime Video
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